『即興小説ゲーム』公式ブログ

リレー形式で綴られる、2分30秒のライティングノベルイベント『即興小説ゲーム』の公式ブログです。みんなでやりましょう。

2018/4/14(土) 『即興小説ゲーム~お試し版~』ログ

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〇第一試合 (2分半交代)

 

先攻・なべとびすこ VS 後攻・柴井常喜常

お題『タンポポ

ジャンル『ファンタジー』

どんな話『切ない』

 

(動画を準備中!) 

 

先攻1票・後攻2票

後攻・柴井貫喜常の勝利!

 

 

 

〇第二試合 (2分半交代)

 

先攻・井上大輔 VS 後攻・横林大々

 

お題『紙』

ジャンル『SF』

どんな話『おどろく』

 

【起のターン(先攻・井上)】 

そのとき、人類の歴史一歩進んだと言われることが起きた。
偶然出来たその紙がすべての物質の要素を兼ね備えていたからだ。
それは例えるならば中世の錬金術、魔法のようなことが実際に起こった。

すべての物質より、硬く、柔らかく、厚く、薄く、長く、短く。

そんな魔法のような紙が出来上がってしまったことがあの悲劇を引き落とすこととなった。

 

【承のターン(後攻・横林)】

紙人類と呼ばれる人間たちが現れたのだ。

「あの紙はないのか」
「あの紙がなければ我々はもう生きていけない」
「早く紙を」

しかし奇跡のような紙を作り出すのには年月がかかった。

「我々はもう、あの紙の虜なのだ」

「そう、もう私たちは、あの紙がなければ、トイレの大を拭けない体質にされてしまった」

 

【転のターン(先攻・井上)】

トイレの大を拭かない彼らは一体どうするのか。想像しがたいような出来事が彼らの下着の中では起こっていた。

そのことを想像してしまうと、思わず、その奇跡の紙を渡してしまうのだ。笑い事ではなかった。

そして、紙人類と旧人類の長い戦いは続く。

その紙を使い、魔法を、科学を超えた、言葉では言い表せないものを作りあげる紙人類。

紙を奪い上げられ、それでも、地べたで這い上がる旧人類。

最後、その戦いではまさかという事が起こった。

 

【結のターン(後攻・横林)】

旧人類は紙人類が残した紙を回収し始めていた。

相手の戦力を奪うことが一番の勝利への近道だと考えたからだ。

しかし、彼ら旧人類の兵士たちは、野外での戦いも多く、ある日兵士の一人が用をたしたあとに、ふく紙が見当たらなかったのだ。
「あれだけ虜にされた紙で、もしも吹いたならば……いかんいかん」

兵士はそういいながらも気が付けば大を、魔法の紙でふいていた。

ふいていたのだ。

 

先攻1票・後攻2票

後攻・横林大々の勝利!

 

 

 

〇第三試合 (2分半交代)

 

先攻・柴井貫喜常 VS 後攻・井上大輔

 

お題『車』

ジャンル『ホラー』

どんな話『泣ける』

 

【起のターン(先攻・柴井)】 

  深夜。車での出張から帰る道。手持ちが足りずにやむなく山の道を選んだが、街灯もろくに無く、古い道は舗装もガタガタで、後悔をしているところである。
 私の帰りを楽しみにしている妻と子供のために眠い目をこすって何とか曲がりくねった道を行くが、帰ると約束した10時などとうの昔に過ぎ去っている。
 頑張って起きてくれていた娘は眠ってしまったと妻からメールが来た。それがもう一時間近く前で、ここは圏外のエリアである。

 

【承のターン(後攻・井上)】

圏外ということは、もしここで車になにかトラブルがあると、どうにもできないことになる。
私は、親から譲り受けた40年ものの車に気をやった。

(どうにかもってくれよ、、、)

そう思いながら、私は夜道をぬるぬると進む。
アクセルを踏む、ブレーキを踏む、ギアを変える。繰り返し繰り返し行われるその動作は私の脳をとかしていく。
車も、どういうわけか、タイヤが重い。脳を動かすために私は更にアクセルを踏む。

 

【転のターン(先攻・柴井)】

  まどろみに片足を突っ込みかけた時、鮮烈なクラクションの音が私の耳をつんざいた。
 他に誰もいないはずの静かな山道。斜面に曲がりくねった細い道があるだけの道で、バックミラーに移った信じられない光景に私は目を疑った。
 道幅ぎりぎりの、10トンはあろうかという煌めくトラックが後方からもスピードで追い上げてくるのである。
 慌てて私は、逃げるようにアクセルを踏み込み、危うく転落しかねない道でガードレールにこすりながら懸命にハンドルを切る。
 それでもダメだ、追いついてくる。
 あわや接触というところで、私はとうとう精神の限界を迎え、ガードレールを飛び越えてしまった。

 

【結のターン(後攻・井上)】

 今日、父の3回忌が終わった。父は車が大好きでずっとずっと乗っていたのだけど、最後は病院のベッドで大往生。父は嫌がるかもしれないけれど、家族の私としては、事故でなくてよかったと思ってしまった。

そういうのも、父は事故を起こした。ひとりでガードレールを飛び越した事故。
私に記憶はないのだけれど、それで生きていたことが奇跡らしい。

そのとき、私は、おじいちゃんのおじいちゃんが死んだ、といったらしい。

父はガードレールから飛び越したのに、生きていた、というより傷一つなかった。その分、車は見る陰もなくなってしまったのだけれど。

その車はもう。

 

先攻0票・後攻2票

後攻・井上大輔の勝利!

『審査員コメント』

〇先攻の柴井さんの文章量と表現力は、素晴らしかった。ホラーにもあっていた。

〇しかし、 文章の中で『泣ける』という要素を入れられていなかった印象がある。

〇対して後攻の井上さんは『泣ける』の要素を回収していた。

〇井上さんは独自の反復表現などもありホラーの文章に味があった。